一連の過誤調整で感じたことのまとめ
過誤調整、再請求を実際にやってみての感想と備忘録をここに記す。
計画を決めることが大事
いつまでに過誤に対する事柄すべてを終了させるのかが重要。
過誤調整を行なっている間にも利用者様は利用されるし、日々の業務は進んでいくので「きっちりいつまでに終わらせる」と目標を持って取り組むことが一番良い。
何事も計画を立てていくことが重要。特に長期間が該当するケースでは、段取りを明確に決めていくとスムーズに行うことが出来る。
一番の良い方法は市町村などの役所機関に直接話を聞きに行くこと、分かれなければ何度も足を運ぶこと。
多額の過誤請求は、おそらくほとんどの人が初体験となるであろう経験なので、なおさらそうしたほうが良い結果が生まれるだろう。
過誤に値する時期はいつなのか
実地指導により指摘された期間と過誤調整を行う期間
指摘された期間
実地指導で過誤調整が必要になった場合、指導日のその日に過誤調整の必要な期間が予想の範囲で知らせていただける。同月過誤が必要で多額の場合、その日から各機関に連携を求めたほうが良いだろう。また、もちろんのことではあるが担当していただける方との面識はしっかり取ること。
指導日から数日後、担当者より実際の明確な判断が聞くことが出来るので、マメに連絡をしておくと良い。
過誤調整を行う期間
きちんとした過誤の期間が確認出来たら、その期間内でのサービスの利用、請求状況及び請求額を調べていくことになる。
過誤に該当する期間の長さにもよるが、非常に大変な作業となるので注意して取り組もう。また関係各所との連携や報告、相談も同時並行で行っていく必要があるため、マルチタスクとなりやすいので注意が必要だ。
・該当する期間の把握。
・該当する期間内での一人ひとりのサービスの利用状況を調べる。
・該当する件数を計算。単位を照らし合わせる。
このあたりが過誤に当たる時期の把握として重要になるので調べておこう。
過誤調整ってどうやるの?
過誤調整は市町村(保険者)と国民健康保険団体連合会(国保連)へ連絡することから始まる。
イメージとしては
過誤請求発覚
↓
保険者に介護給付費過誤申立書を提出(毎月15日頃まで)
↓
保険者が国保連へ過誤申立依頼のデータを送付(毎月20日まで)
↓
国保連が審査処理、過誤処理をし過誤決定通知書を事業所へ送付
↓
事業所が介護給付再請求及び通常通りの請求も行う
↓
過誤分と通常分が相殺処理され事業所に支払われる
※相殺しきれなかった場合、残りの額を事業所は国保連へ返金することになります。
どちらの過誤調整に値する?
別のページでも書いてあるが過誤調整には二つの種類がある。
通常過誤と同月過誤だ。内容は割愛するが、どちらがやりやすいか、該当する過誤に合っているかは、市町村と相談し決めるのが一番良い方法だろう。
それから額によっても変わってくるのでそのあたりも相談しながら決めていくのが良いだろう。
同月過誤に必要であろう書類たち
うちの施設は同月過誤で行なったため、介護給付費過誤申立書の他にも書類が必要になった。これはどの都道府県でも市町村でも同じであろうと思う。
市町村へ提出した書類たち
介護給付費過誤申立書
過誤調整正誤表(自作)
同月過誤再請求実施計画書
介護給付費明細書
同月過誤実施月別件数一覧表
都道府県へ提出した書類たち
同月過誤再請求実施計画書
同月過誤実施月別件数一覧表
一番大事!金額の計算!
さて、ここが事業所にとって、いや、事務方にとって一番の問題点である。
期間と提供サービス件数、利用者様一人ひとりの介護度によって給付費過誤が事業所ごとに変わってくるだろう。
それから送迎減算や機能訓練、入浴などの単位が個別にある場合も全部纏めて計算していかねばならない。
例えば (平成30年4月改正での計算です)
通常規模デイサービスでサービス提供時間が7ー8時間(761単位)の事業所がある。
要介護2の方が週1回のご利用で月4回のご利用。
入浴(1回50単位)を必ず利用し、個別機能訓練Ⅱ(1回56単位)も行なっている場合。
761x4+200+224=3468単位
もし、これが誤って請求したほうが8-9時間(775単位)の計算でされていた場合。
775x4+200+224=3524単位
3468-3524=-56単位
例え話ではあるが過誤の部分は56単位。この差分を計算し纏めていく。それこそ過誤に該当する期間を細かく、一つも漏らさずに。
真摯に対応する。これが大切である。
利用者様に対しても心がけたこと
さて、この介護業界は利用者様あっての業界である。
まして、国の保険制度である介護保険を報酬として運営が成り立っている業界でもある。
とはいえ、やはりサービス業である。利用者様=お客様の精神は事業所として持っていなければならない。
認識不足だったとはいえ、不正請求ということをしてしまった以上、もう利用していただけないことも頭をよぎった。
事業所として最終的には利用者様、そしてご家族様には、真摯に事柄を説明、返金、謝罪をさせていただいた。
説明でも明細書まで作成。過誤となった期間の明細を細かく出して伝えた。
そういったことを続けていると逆にお礼まで言ってくださることがあった。
「こっちがお世話になっているのに返す必要無いのに」
「本当ならもっとあげたいくらいだ」
「隠さず言ってくれてありがとうございます」など
本当にありがたいお言葉を頂いた。良かったと胸をなでおろした。
利用者様やご家族様に対して今までやってきたことは間違って居なかったんだと。
そして利用者様たちは今まで通り変わりなく利用していただけた。
そう、ここで学んだことは真摯に結果を向き合い、結果を受け止め行動していくことが一番大切だということだ。
まとめ
と、いうわけで、まとめ。
補足として金額的なところも少し書いておく。
まず、指導によりどのくらいの期間の過誤調整を指摘されたかというと、約1年間。件数に表すと500弱の件数だ。この数は、他と比べると圧倒的に少ない方だと指導担当の職員は言っていた。
確かにニュースで取り上げられている事例等を見ると◯年間で◯千万円の不正請求などをあるように、一度不正起こしてしまったら会社、事業所としては取り返しのつかない事態に陥るだろう。
事実、弊社の件も金額で言えば多額。
詳細の金額は書けないので、〇○○万円とでも書いておこう。
それから、金額大事!のところで書いた地域区分。
地域によって金額にするときに差があるのが介護保険報酬なのだ。
地域区分によって金額のブレはあるものの、ここでの差分は56単位。
ひと月だけの過誤なら約560円。では1年、2年、3年の過誤では?
額を考えただけでも恐ろしいですね。
長々と書いて来たが、いちばん重要なのは把握すること
額や期間や件数だけでなく、裏にあるものも重要だったりもする。
保険者や国保連、都道府県の指導科の担当の方とのコミュニケーションや報連相であったり
利用者様やご家族様への影響が一番重要かなと思い動いていた。
今後もその気持ちを忘れることなく、利用者様やご家族様の笑顔が観れるよう務めていきたい。
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